vol.6 竹竿と言う魔物
グラス竿・カーボン竿が出現する前は竹竿しかありませんでした。いろいろな釣りがある中で、なぜ「へら鮒釣りの竹竿」がここまで進化を遂げ、他の竹竿は衰退したのか。海釣り・真鮒・タナゴ・アユなど釣りのすべての釣りで竹竿が活躍していました。が、昭和40~50年代グラス素材竿の出現、60年代のカーボン素材竿の流行は竹竿にとって脅威となりました。特にカーボン素材竿の進出は目を見張るものがあり、機能・性能的に大変優れた竿として現在も重要視されております。
考えてみますとカーボン素材竿のお陰で竹竿造りの技術が向上したことは言うまでもありませんが、お互いが向上したことも事実です。しかし、他の釣りを見てみますと竹竿は、機能的にすぐれたカーボン竿に何処か追いやられてしまった傾向があります。確かにアユ竿とかは「長さ」の問題で軽量化したものには勝てずアユ竿師は少なくなっております。勿論竹竿でしか「アユ」を釣らない人は多数おられます。が、その中、なぜ、「へら鮒釣り」の竹竿がここまで皆様に愛されるかと考えてみますと「竹竿」でへら鮒を釣ることがバランス・そして魚の大きさによる腕への感触がなんとも言えないことこそが愛される要因ではないかと結論づけられるのではないでしょうか?へら鮒用の竹竿は、魚の大きさと魚の引きがマッチしているのではないでしょうか。
ここ数年の流行で管理釣り場の大型化は竹竿にとっては気になる問題で、「へら鮒」は尺止まりで良いのではないかと考えているのは私一人だけでしょうか。考え方ですが、釣る側が魚・釣り場など状況によっていろいろな竿を使い分けることにより、へら鮒釣りは角度の違った釣りへとも発展するとも考えます。何が良く、何が悪い、ではなく「へら鮒釣り」をどのように考えるかで楽しみ方は大きく変わります。どんな時代が来ようとも「へら鮒釣り」が無くなるわけがありません。竹竿師職人がおられる限り竹竿は生き抜き100年200年、先は分かりませんがこの世の芸術品として高く評価されるものでしょう。
竹竿の寿命は計り知れないものがあり、今の技術を要すれば竹は生き延びます。竹は呼吸するもので人間と同じく環境が良ければ長生き出来、環境が悪ければ呼吸困難となり寿命も短くなります。これから竹竿を使用する方は数多くおられると思いますが、他の竿と比較するのではなく「竹竿」という魔物は、どういう魔物なのか時間を掛けて判断して頂きたい物です。